様相の投影
ふるまいのグラデーション
八千代緑が丘の家
東京から少し離れた郊外の自邸マンションをリノベーションした。ここで考えたのは、空間の質の変化と、それによって生まれる、"ふるまいのグラデーション"である。静的なふるまいから、動的なふるまいへ、グラデーショナルにその質が変化する。与えられたフィールドの特性を活かして、わたしたちの内部にあらわれる様々なモードに寄り添い、いかに多様なふるまいを受け入れるか、つまりいかにわたしたちが自由でいられるか、そんなことを考えた。
- a.シナ合板、珪藻土などの繊細な印象のマテリアルで構成されていて、平滑で情報量の少ない空間である。こじんまりとしたスケール感と、穏やかな色合いのカラースキームによって、やさしく包みこまれるような感覚がある。わたしたちは、こういった質の空間で、いつもよりすこし静かにゆっくりとふるまうだろう。
- b.その外側にはあるのは、コンクリートの荒い表情の天井と、ストーンペイントによるざらざらとした壁、そして沢山の本や、点在する植物からなる空間である。情報量が多く、少し移動すれば、わたしたちはまた別の情報をキャッチすることができる。ここでのふるまいは、少しくらい荒々しくて良くて、どこか街の中の広場にいるような感覚で、わたしたちはここで思い思いの時間を過ごす。窓を開けると、風が吹き込み、この空間はさらに外部的になる。
- c.そして、さらにその外側には、沢山の植物が置かれた外部空間がある。外部であるから、光や熱や風などのゆらぎがあり、それゆえわたしたちは、室内では得られない変化を求めてここに出る。身体を伸ばしたり、軽い運動をしたり、そして、いくつか家具も置かれていて、ゆっくりと移りゆく景色の変化のなかで過ごすことができる。
data
- 竣工
- 2020年
- 所在地
- 千葉県八千代市
- 構造
- RC構造
- 設計期間
- 2ヶ月
- 施工期間
- 1.5ヶ月
- 延床面積
- 76.49㎡
credit
- 企画・運営
- loca design lab
- 施工
- SHUKEN Re
- producer
- 加藤駿
- designer
- 加藤駿